続けるが苦手でも大丈夫!50代からの健康習慣〜心と体を諦めないヒント〜
健康習慣、「続ける」のが難しいと感じていませんか?
健康のために何か始めたい、と思ってウォーキングを始めてみた。最初は頑張ったけれど、雨が降ったり忙しかったりで、気づけばもう何週間もできていない…。食事に気をつけようとレシピ本を買ったのに、結局いつものご飯に戻ってしまった…。
そんな経験、あなただけではありません。50代という人生の節目は、体調や生活リズム、家族のことなど、さまざまな変化が訪れる時期です。健康への意識は高まるけれど、一方で心や体の疲れを感じやすく、「健康習慣を続ける」こと自体が負担に感じてしまうこともあるかもしれません。「またダメだった…」と自分を責めてしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、ご安心ください。健康習慣は「完璧に毎日続けなければ意味がない」というものではありません。そして、「続かない」ことは、決してあなたの意志が弱いせいではないのです。この時期の心や体の変化、そして私たちの脳の仕組みを知ることで、「挫折」を恐れずに、自分に合ったペースで健康習慣と長く付き合っていくヒントが見えてきます。
「ココロカラダ健康ガイド」では、心の健康が体の健康寿命を延ばす、という視点を大切にしています。健康習慣を「続ける」ことは、心と体の両面を整えることにつながります。今回は、健康習慣がなぜ続かないと感じてしまうのか、そして、たとえ中断してしまっても、自分を責めずにまた一歩を踏み出すための、心と体へのやさしいアプローチをご紹介します。
なぜ、健康習慣は続かないと感じてしまうのでしょう?
健康習慣が続かないと感じる背景には、いくつかの要因が考えられます。これは決してあなたが怠け者だから、ということではありません。
- 完璧を目指しすぎる心のプレッシャー: 「毎日〇〇しなければ」と高く目標を設定しすぎると、一度でもできなかった時に「もうダメだ」と全てを諦めてしまいがちです。これは心に大きな負担をかけます。
- 体調や心の状態の変化: 50代はホルモンバランスの変化などで、体調が不安定になったり、気分が落ち込みやすくなったりすることがあります。体がだるい、やる気が出ない…そんな時は、普段通りに体を動かしたり、食事に気を配ったりするのが難しくなります。無理がたたると、心も体も疲弊してしまいます。
- 日々の忙しさや優先順位: 家族の世話、家事、仕事など、日常には優先すべきことがたくさんあります。健康習慣はつい後回しになりがちで、時間が取れないと罪悪感を感じることもあります。
- 成果がすぐに見えにくいこと: 健康習慣の効果は、劇的にすぐに現れるわけではありません。体重が減らない、体力がついたか分からない、といった状況が続くと、モチベーションを保つのが難しくなります。
- 過去の挫折経験: これまでにも健康習慣に挑戦しては挫折した経験があると、「どうせまた続かないだろう」という気持ちが心のブロックになってしまうことがあります。
これらの要因は、50代という時期特有のものや、私たちの誰もが持つ「習慣を変えることの難しさ」によるものです。自分だけではない、誰もが経験しうることだと理解することが、まず自分を許し、次に進むための第一歩となります。
「また中断してしまった…」と落ち込む前に。心へのやさしいアプローチ
健康習慣が途切れてしまっても、「もう終わりだ」と決めつけないことが大切です。中断は失敗ではなく、「お休み期間」と捉えましょう。
- 自分を責めないこと: 「またできなかった」と自分を責める必要はありません。それは一時的な中断であり、あなたの価値を下げるものではありません。できなかった理由を客観的に振り返ることは大切ですが、自分を否定する言葉は使わないようにしましょう。
- 完璧主義を手放す: 「毎日完璧にやる」という考えを手放し、「できる時に、できる範囲で」という柔軟な考え方に切り替えます。例えば、「ウォーキングを30分」が難しければ、「近所のコンビニまで歩く」だけでもOKとします。
- 目標設定の見直し: 大きな目標だけでなく、達成しやすい小さな目標を設定します。例えば、「毎日運動する」ではなく「週に2回、10分散歩する」のように具体的に、ハードルを下げてみましょう。
- 小さな達成感を記録する: できたこと、続けられたことを記録する習慣をつけると、自分の努力を認めやすくなります。ノートに書いたり、スマートフォンのアプリを使ったり、方法は問いません。小さな「できた!」の積み重ねが、自信と次への意欲につながります。
- 「なぜ続けたいのか」を再確認: 健康習慣を始めた最初の目的を思い出してみましょう。「体力をつけて孫と遊びたい」「好きな旅行をもっと楽しみたい」「いつまでも自分の力で歩きたい」など、具体的な動機を心に留めることで、内側から力が湧いてきます。
「また明日から」を応援する。体への無理ないアプローチ
心が整ったら、体へのアプローチも無理のない範囲で始めましょう。体が楽になると、自然と心も前向きになります。
- 体調に合わせて調整する: 体がだるい、疲れている、という日は無理に頑張らない勇気を持ちましょう。「今日は休む」「軽めにする」という選択肢を自分に許します。休息も大切な健康習慣の一部です。
- 「義務」ではなく「楽しみ」を見つける工夫: 運動が苦手なら、好きな音楽を聴きながら体を動かしたり、友人とおしゃべりしながら散歩したりと、「楽しい」と感じる要素を取り入れてみましょう。健康的な食事も、彩り豊かにしたり、新しいレシピに挑戦したりと、工夫次第で楽しみが増えます。
- 日常生活に自然に取り入れる: 特別な時間を取らなくてもできることはたくさんあります。歯磨きをしながらスクワットをする、テレビを見ながらストレッチをする、一駅手前で降りて歩くなど、「ながら」や「隙間時間」を活用します。
- 休息や睡眠を大切に: 体が十分に休息を取れていると、活動的になるためのエネルギーが生まれます。質の良い睡眠は、心と体の回復に不可欠です。寝る前に軽いストレッチをする、温かい飲み物を飲むなど、リラックスできる習慣を取り入れてみましょう。
- 専門家や信頼できる情報を参考に: 無理なダイエットや過度な運動は体を痛める原因になります。年代に合った運動方法や食事の知識は、信頼できる情報源(医師、専門家、公的機関など)から得るようにしましょう。体の状態に不安がある場合は、専門家に相談することも大切です。
心と体はつながっています。両面からのアプローチで、長く続けられる習慣を
健康習慣が続かない時、私たちはつい体の行動(運動できていない、食事が乱れている)だけに目を向けがちです。しかし、その行動の背景には、心の問題(やる気が出ない、自信がない、疲れている)が隠れていることがよくあります。
心が疲れている時に無理に体を動かそうとしても、なかなか続きません。逆に、適度な運動で体が軽くなると、気分も前向きになることがあります。このように、心と体は密接につながっています。
健康習慣を長く続けるためには、この心と体の両方に目を向け、「両方の調子を整える」という視点が重要です。
たとえ今は習慣が途切れているとしても、自分を責める必要はありません。完璧でなくて良いのです。今日の体調や心の状態に合わせて、できることから、小さな一歩を踏み出してみましょう。
例えば、 * 今日は気分が乗らないけれど、せめて5分だけ近所を歩いてみよう。 * 疲れているから、今日は無理せず温かいお茶を飲みながら、心と体を休ませる時間を取ろう。 * 食事を作る気力がないけれど、カット野菜を買ってきて、一品だけでも野菜を増やしてみよう。 * 「また明日から頑張ろう」と自分に優しく声をかけよう。
このように、自分に優しく、心と体の声を聞きながら、小さな「できる」を積み重ねていくことが、結果的に健康習慣を「続ける」ことにつながります。
健康習慣は、自分自身への投資です。そして、それは決して苦行である必要はありません。自分を大切にする時間として捉え、心と体の両方が喜ぶ方法を見つけていきましょう。
何歳からでも、どんな状況からでも、再開することは可能です。そして、完璧を目指さなくて良いのです。今日のあなたができる、ほんの小さな一歩が、未来の心と体の健康寿命を延ばすことにつながります。諦めずに、ご自身のペースで、また一歩踏み出してみてください。