50代からの「いきいき」を保つヒント〜心と体で始める健やか習慣〜
50代、これからの「いきいき」を考える
50代半ばを迎えられる頃、ふと「この先の自分はどうなるのだろう」「いつまでも元気に過ごせるだろうか」と、将来の心身の健康について考え始める方もいらっしゃるかもしれません。体力の変化や、ちょっとした物忘れなどが気になり始めることも増える時期です。
「いきいきと過ごす」とは、単に病気がないことだけではありません。毎日を楽しみ、興味を持ち続け、人との繋がりを感じながら、心身ともに活動的であることも大切な要素です。そして、この「いきいき」を保つためには、実は「心」と「体」の両方からのアプローチが欠かせないことが、近年の研究でも明らかになっています。
ここでは、「心の健康が体の健康寿命を延ばす」という考え方を大切にしながら、50代から無理なく始められる「いきいき」を育むための健やか習慣をご紹介します。
心と体の繋がりが「いきいき」を支える理由
私たちの心と体は、互いに深く影響し合っています。例えば、強いストレスは体の不調を引き起こすことがありますし、逆に体を動かすことで気分が晴れるといった経験は多くの方がお持ちかと思います。
年齢を重ねるにつれて、この心と体の相互作用はより顕著になることがあります。
- 心の状態が体に与える影響: 不安や孤独感、生きがいの喪失といった心の状態は、活動量の低下を招き、筋力や認知機能の衰えにつながることがあります。また、慢性的なストレスは免疫力の低下や様々な体の不調の原因となる可能性が指摘されています。
- 体の状態が心に与える影響: 体の痛みや疲れやすさ、運動不足は、外出を億劫にさせ、人との交流を減らし、気分が落ち込む原因となることがあります。体を動かす機会が減ると、脳への刺激も少なくなり、認知機能にも影響を与える可能性が考えられます。
このように、心と体はまるで車の両輪のように、どちらか一方だけをケアしても、「いきいき」とした状態を長く保つことは難しいのです。心と体の両方に目を向けた習慣を取り入れることが、将来の健やかさへと繋がる大切な一歩となります。
心から「いきいき」を育む健やか習慣
心の「いきいき」は、毎日の活動や人との関わり、そして自身の内面への気づきによって育まれます。
1. 小さな「わくわく」を見つける
新しいことに挑戦したり、学びたいことに関心を持ったりすることは、脳に良い刺激を与え、心に活力を生み出します。大げさなことである必要はありません。
- 今まで作ったことのない料理に挑戦してみる
- 地域のイベントや講演会に参加してみる
- 図書館で興味を引かれた本を手に取ってみる
- スマートフォンで新しいアプリの使い方を覚える
このような小さな「わくわく」が、好奇心を刺激し、日々に彩りを与えてくれます。
2. 人との繋がりを大切にする
家族だけでなく、友人や地域の人々との交流は、心の健康に不可欠です。おしゃべりしたり、一緒に何かをしたりすることで、孤独感が和らぎ、安心感や喜びを感じることができます。
- 定期的に友人とお茶や食事をする時間を作る
- 地域のサークル活動やボランティアに参加してみる
- 家族以外の人と毎日短い時間でも挨拶や会話をする習慣を持つ
- 遠方の家族や友人に電話やメッセージを送る
人との温かい繋がりは、心の栄養となります。
3. ポジティブな側面に目を向ける練習
私たちはつい、出来なかったことや気になることに意識を向けがちです。しかし、意識的に良かったこと、感謝できることなど、ポジティブな側面に目を向ける練習をすることで、心の状態は穏やかになります。
- 寝る前に今日あった良かったことを3つ思い出す
- 当たり前だと思っていること(食事、天気、家族など)に感謝する時間を持つ
- ネガティブな感情が湧いても、「そう感じているんだな」と自分を受け入れる
小さな良いことを見つける習慣は、心を明るく保つ助けとなります。
体から「いきいき」を育む健やか習慣
体の「いきいき」は、日々の適度な活動と、体に必要な栄養、そして十分な休息によって支えられます。
1. 無理のない範囲で体を動かす
適度な運動は、筋力や骨密度の維持だけでなく、脳への血流を促進し、認知機能の維持にも良い影響があると言われています。また、体を動かすことで気分転換になり、ストレス軽減にもつながります。
- 毎日15〜30分散歩する(少し息が弾む程度が目安)
- ラジオ体操やストレッチを習慣にする
- 買い物に行く際に一駅分歩いてみる
- 家の中で階段を使う機会を増やす
「運動しなければ」と気負わず、「体を動かすのは気持ちいいな」と感じられることから始めてみましょう。
2. 体が喜ぶ食事を心がける
バランスの取れた食事は、体だけでなく脳の働きを支える基盤となります。特定の食品に偏らず、様々な食材から栄養を摂ることが大切です。
- 毎食、主食、主菜、副菜を揃えるように意識する
- 野菜やきのこ、海藻類などを積極的に取り入れる
- 魚に含まれる良質な脂質(DHAなど)も意識する
- ゆっくりと味わって食べることで、食事を楽しむ
「体に良いもの」だけでなく、「自分が美味しいと感じるもの」を適量いただくことも、心の満足につながります。
3. 質の良い睡眠を確保する
睡眠は、心身の疲労回復と脳のメンテナンスにとって非常に重要です。十分な睡眠時間を確保し、睡眠の質を高める工夫をしましょう。
- 毎日決まった時間に寝起きするよう心がける
- 寝る前のカフェインやアルコールは控える
- 寝る前にスマートフォンやパソコンの画面を見るのを避ける
- 寝室の環境を快適にする(温度、湿度、光など)
「眠れない」と悩みすぎず、リラックスできる寝る前のルーティン(軽い読書、ストレッチなど)を取り入れてみるのも良い方法です。
大切なのは「〜ねばならない」を手放すこと
これらの習慣を聞くと、「全部はやれない」「負担に感じる」と思われるかもしれません。しかし、大切なのは完璧を目指すことではなく、「〜ねばならない」という義務感を手放し、ご自身にとって無理なく、そして楽しみながら続けられることを見つけることです。
まずは、ご紹介した中から「これなら今日からできそうかな?」と思えるものを一つ、小さな一歩として試してみてはいかがでしょうか。散歩の時間を5分だけ増やしてみる、寝る前に良かったことを一つだけ思い出す、といった簡単なことからで良いのです。
小さな習慣を積み重ねていくうちに、心と体が少しずつ変化していくのを感じられるはずです。その変化を肯定的に受け止め、「小さなできた!」を自分自身で褒めてあげましょう。
今日の小さな一歩が、未来の「いきいき」に繋がる
50代からの心と体の健やかさは、特別なことではなく、日々の暮らしの中で育まれます。ご紹介した習慣は、どれも今日からでも始められる身近なものばかりです。
心と体は繋がっています。ご自身の心身の声に耳を傾けながら、楽しみながらできる健やか習慣を一つでも生活に取り入れてみてください。今日の小さな一歩が、きっと未来の「いきいき」とした自分を支えてくれるはずです。
この情報が、あなたの「いきいき」を保つための一助となれば幸いです。