ココロカラダ健康ガイド

自分の声、大切にしていますか?50代からの「声」ケアで心と体を整えるヒント

Tags: 声ケア, 50代, 心と体, 健康寿命, 呼吸法, 発声

自分の声に耳を傾けていますか?

日々の生活の中で、ご自身の「声」について意識することはあまりないかもしれません。私たちは毎日、家族と話したり、友人と電話したり、歌を口ずさんだり、さまざまな場面で声を使っています。その声は、私たちの体調や気持ちの状態を映し出している鏡のようなものです。

年齢を重ねるにつれて、「声が出しにくくなった」「かすれやすくなった」「以前より小さくなった気がする」といった変化を感じる方もいらっしゃるかもしれません。こうした声の変化は自然なことでもありますが、実は声のケアを意識することで、心と体の健康に良い影響をもたらす可能性があるのです。

「ココロカラダ健康ガイド」では、心の健康が体の健康寿命を延ばすという視点から、今回は「声」に焦点を当ててみたいと思います。声と心と体の繋がりを知り、無理なく日常に取り入れられる簡単なケア方法をご紹介します。

声と体の深い繋がり

声は、肺から送られる空気が声帯を振動させることで生まれます。そのため、声の状態は呼吸の深さや姿勢、さらには喉や周りの筋肉の状態に大きく左右されます。

例えば、慌てている時や緊張している時、声が高くなったり、早口になったりすることがあります。これは呼吸が浅くなり、体に力が入っているためです。逆に、リラックスしている時は、声が落ち着き、ゆったりとした話し方になる傾向があります。

また、猫背など姿勢が悪いと、肺が圧迫されて呼吸が浅くなり、声が出しにくくなることがあります。喉が乾燥していると、声帯がスムーズに振動せず、声枯れの原因にもなります。このように、声は単なる音ではなく、私たちの体の状態を正確に反映しているのです。

声が心に与える影響

声は、相手に情報を伝えるだけでなく、自分自身の心にも影響を与えています。

声のトーンや大きさは、その人の感情を伝える重要な要素です。「ありがとう」と感謝の気持ちを伝える時、明るく穏やかな声であれば、相手だけでなく言った自分自身の心も温かくなるものです。逆に、不満を募らせた声を出していると、ますます気分が落ち込んでしまうこともあります。

近年の研究でも、意識的にポジティブな声の出し方をすることで、気分が明るくなるという報告がなされています。大きな声で笑ったり、好きな歌を歌ったりすることも、ストレス解消や気分転換に繋がることが知られています。声に出すという行為自体が、心の緊張をほぐし、活力を与えてくれるのです。

50代から始めたい「声ケア」のヒント

声のケアは、特別なことではありません。日常生活の中で少し意識するだけで、心と体の健康に繋がる小さな一歩を踏み出せます。

1. 呼吸を意識する

声の土台は呼吸です。深くゆっくりとした呼吸は、声帯に十分な空気を送り、安定した声を出すために役立ちます。また、腹式呼吸は副交感神経を優位にし、心身のリラックス効果も期待できます。

2. 喉を潤す

乾燥は声帯の大敵です。特に空気が乾燥する季節や、たくさん話す日は、こまめな水分補給が大切です。水やお茶(カフェインの少ないもの)を少しずつ摂るようにしましょう。

3. 声を出してみる時間を作る

日頃あまり声を出す機会がないという方もいらっしゃるかもしれません。意識的に声を出してみる時間を作ることは、声帯の適度な運動になり、声の維持に繋がります。

4. 姿勢を正す

良い姿勢は、呼吸を楽にし、声の通りを良くします。背筋を伸ばし、肩の力を抜くことを意識しましょう。

5. 意識的に笑顔で話す

笑顔で話すと、自然と声のトーンが明るくなります。これは表情筋が声帯や声の響きに影響を与えるためです。意識的に笑顔を作ることで、気持ちも前向きになりやすくなります。

声の変化を受け止め、ケアを楽しむ

50代からの声の変化は、決して特別なことではありません。むしろ、体の自然な変化の一部として受け止めることが大切です。その上で、ご紹介したような小さな「声ケア」を日常に取り入れてみてください。

声のケアは、喉や声帯のためだけでなく、呼吸を整え、姿勢を意識し、さらには気分を明るくするなど、心と体の両面に働きかけます。難しく考える必要はありません。まずは、自分の声に少し耳を傾けることから始めてみましょう。ご自身の声が、これからも心と体を健やかに保つための一助となることを願っております。